処遇改善加算 2017年改正のポイント
2017年介護保険法改正にあたり、キャリアパスの実施内容により、加算内容が大きく変わることに
なります。
介護職員処遇改善加算とは
介護職員に対して、昇給や一時金の支給等により待遇を改善した場合に、介護報酬に対して一定率の介護職員処遇改善加算が行われます。
《新設の加算(更なる上乗せ評価)の算定要件》
(1)キャリアパス要件
I. 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること。(評価制度の整備)
II. 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること。
III. 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
を設けること。
(2)職場環境等要件
賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること。
《主なサービスの加算率》
サービス区分 |
加算I |
加算II |
加算III |
加算IV |
加算V |
(介護予防)訪問介護 |
13.7% |
10.0% |
5.5% |
加算III ×0.9 |
加算III ×0.8 |
(介護予防)訪問入浴介護 |
5.8% |
4.2% |
2.3% |
||
(介護予防)通所介護 |
5.9% |
4.3% |
2.3% |
||
(介護予防)通所リハビリテーション |
4.7% |
3.4% |
1.9% |
||
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 |
10.2% |
7.4% |
4.1% |
||
介護老人福祉施設 |
8.3% |
6.0% |
3.3% |
||
介護老人保健施設 |
3.9% |
2.9% |
1.6% |
これまでは、キャリアパスの枠組みと研修の機会だけあれば、昇給と連動していなくても、加算Iで算定できましたが、今後は昇給と連動する評価制度を作成し、運用していることが加算Iを算定する要件となります。
また、昨今の介護業界は人手不足が顕著に表れており、募集をしても応募がない、入社してもすぐ退職してしまう、従業員が思ったように育たない、等の悩みを多くの事業所が抱えています。
また、「制度を作るのは大変だから今回は加算IIでいいか」等と考えていると、非常に危険です。
今回加算Iを算定すると、加算IIと比べて月額1万円程度の差が生じます。周囲の事業所が加算Iを算定し、賃金水準を上げていく中で、応募者数の減少や職員の他社への移籍といったリスクを抱えることとなってしまいます。
これらの対策として、従業員の教育と一体となった評価制度を作成することによって、処遇改善加算を加算Iで利用しながら、従業員の能力向上や定着率アップを図っていくことが重要です。
*評価制度の作成をお考えの方 詳しくはこちら
評価制度の導入時に利用可能な助成金
以下のような制度整備を行った場合には助成金が利用できます。
職場定着支援助成金(介護労働者雇用管理制度助成コース)
賃金制度、評価制度の導入 ⇒50万円支給
制度導入後、1年間で職員の離職率が一定率減少 ⇒57万円支給(※)
その後2年間で、上記離職率を維持しており、かつ、離職率20%未満入 ⇒85.5万円支給(※)
(※)3年前と比べて生産性が向上していると認められた場合は加算あり |
※以上の助成金については、事前の計画提出や就業規則の整備等が必要となります。申請をお考えの
際は、お気軽にお問い合わせください。 詳しくはこちら
介護業界は、今後もいっそうの人材不足が予想されています。上でご紹介した助成金なども上手に活用しながら、制度整備を行い、魅力のある職場づくりを目指していきましょう。